後藤象二郎

大政奉還に関わった人物の一人にこの後藤象二郎も挙げられるでしょう。最も大政奉還に貢献したと言われるのは坂本龍馬でしょうが、彼が「船中八策」を直接山内容堂に説いてもその意見が採用されたかどうかは怪しいところです。後藤は山内の信頼を得ていたため、後藤を通したからこそ藩論として将軍・徳川慶喜に建白できたのではないでしょうか。そう考えると彼も幕末維新の重要な一角を担ったと言えるでしょう。大政奉還の頃、後藤は執政として土佐藩を代表する立場に就き、明治政府では最高職の参議にもなっています。しかしその後、征韓論に敗れて野に下り、実業界に転じましたが粗雑で適当な性格と伝えられている彼はその道に向いておらず、数年で破産してしまいます。物事にこだわらず、これといった理想が無かった彼に事業は難しかったようです。大らかで善良な物分かりの良い性格を活かした職に就けばもっと良い人生を送れたことでしょう。

仇から同志へ

土佐の重要人物・吉田東洋は後藤の姉の夫。近い存在であった上、吉田の進言で藩の要職にも就いていたため彼を殺害した土佐勤王党は憎き仇でした。実際、勤王党の弾圧に積極的で武市半平太を切腹にも追い込んではいたのですが、新政権が必要と見ると佐幕派から倒幕派へ方針を変える柔軟さをもっていました。物事にこだわらない性格が良い方向に働き、結果藩軍の近代化もできたのは彼の功績の一つでもあります。